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当史料は、中世に勢野の惣持寺地区に興された惣持寺(そうじじ)の元塔頭寺院である持聖院(じしょういん)に鎌倉時代の南都仏教の高僧、解脱上人貞慶の供養塔として伝えられてきた五輪塔下に埋葬されていたもので、中に火葬されたお骨が残されていました。考古学的な調査では、蔵骨器が渥美産で鎌倉期まで遡るものであるほか、五輪塔も鎌倉初期の定型化以前のものであることが分り、より精密な科学調査で火葬骨も鎌倉初期のお骨であることが判明しました。このことから、断定できないまでも、解脱上人貞慶のお骨と蔵骨器である可能性が高いことと、鎌倉時代では珍しい火葬例として平成28年11月に町の有形指定文化財に指定されました。